ツリーネーション
2023年 09月 26日
さて、後期最初の大学レッスン。
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リサイタルを聴いてくれた作曲科で副科打楽器の学生達が、
杉山洋一作曲 「Tree-nation」の楽譜をゆっくり、
先生の解説付きで見たい。
という要望あり。
いやいや、解説なんてできないですし、
する必要もない。
作曲した杉山さんも笑って嫌がるでしょう

でも、そうやって興味をもってくれることに
まず嬉しいし、大切なこと。
この曲は十数回の再演を重ねていて、
初演当時の楽譜を毎回大事に使っている。
色わけしたり、書き込みがある。
宝のように大事なものなので、
あまり外に持ち歩きたくないし、
演奏の楽譜は分身のようなもので、
あまり人に見られたくもない。
あえて書き込みのないコピーを用意して学校へ向かった。
2人の作曲科学生を一人一人それぞれに時間をとって、
「Tree-nation」の楽譜を見せる。
1ページ目から驚愕する。
吸い込まれるように楽譜に食い入る。
質問も次々飛んでくる。
何でこういう書き方なのか、先生はこの曲を演奏する時に
何を大事にしてに臨んでいるのか、
どうしたらこのような人の胸を打つ作品が書けるのか、
譜読みから練習、そして理想像までの過程、
この楽譜からどうしてあの演奏ができるのか、
冒頭からオルゴールの消えるまで、すべてがあまりにも凄すぎたという興奮。
初めて私のレッスンに来た当初、
ハイもイイエも、うんでもスンでもない、
声も出なかった生徒達が、
今や「熱い人」になっている
ガツガツと何かを得たくて仕方ない姿というのは、
見ていて何と良いものか。
学校のレッスンは正直98%虚しい。
教育って何だろうと思うことがほとんどだ。
しかし、こういう瞬間は残りの2%がその虚しさを熱いものに変えて
120%になって返ってきてくれる。
それでいい。
自分の演奏を通して、この作品を知り、
この楽譜を自分のところに飾りたいとまで口にするほどの大切な「何か」を見つけてくれたら
それでいいのだと思う。
そして何度演奏しても、
聴衆が、この曲に取り憑かれる、
その作品のもつ力とは何なのだろうと。
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by sawako-ys
| 2023-09-26 17:02
| 音楽