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ツリーネーション

さて、後期最初の大学レッスン。

リサイタルを聴いてくれた作曲科で副科打楽器の学生達が、
杉山洋一作曲 「Tree-nation」の楽譜をゆっくり、
先生の解説付きで見たい。
という要望あり。

いやいや、解説なんてできないですし、
する必要もない。
作曲した杉山さんも笑って嫌がるでしょう103.png

でも、そうやって興味をもってくれることに
まず嬉しいし、大切なこと。

この曲は十数回の再演を重ねていて、
初演当時の楽譜を毎回大事に使っている。
色わけしたり、書き込みがある。

宝のように大事なものなので、
あまり外に持ち歩きたくないし、
演奏の楽譜は分身のようなもので、
あまり人に見られたくもない。
あえて書き込みのないコピーを用意して学校へ向かった。

2人の作曲科学生を一人一人それぞれに時間をとって、
「Tree-nation」の楽譜を見せる。

1ページ目から驚愕する。

吸い込まれるように楽譜に食い入る。

質問も次々飛んでくる。
何でこういう書き方なのか、先生はこの曲を演奏する時に
何を大事にしてに臨んでいるのか、
どうしたらこのような人の胸を打つ作品が書けるのか、
譜読みから練習、そして理想像までの過程、
この楽譜からどうしてあの演奏ができるのか、
冒頭からオルゴールの消えるまで、すべてがあまりにも凄すぎたという興奮。

初めて私のレッスンに来た当初、
ハイもイイエも、うんでもスンでもない、
声も出なかった生徒達が、

今や「熱い人」になっている

ガツガツと何かを得たくて仕方ない姿というのは、
見ていて何と良いものか。

学校のレッスンは正直98%虚しい。
教育って何だろうと思うことがほとんどだ。

しかし、こういう瞬間は残りの2%がその虚しさを熱いものに変えて
120%になって返ってきてくれる。
それでいい。

自分の演奏を通して、この作品を知り、
この楽譜を自分のところに飾りたいとまで口にするほどの大切な「何か」を見つけてくれたら
それでいいのだと思う。

そして何度演奏しても、
聴衆が、この曲に取り憑かれる、
その作品のもつ力とは何なのだろうと。
ツリーネーション_d0260803_17043715.jpeg

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音楽

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by sawako-ys | 2023-09-26 17:02 | 音楽

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